光合成。
おそらく夕日はまだ、地平線の上だが、暗くなった2月22日。建物の灯りが灯り始めていた。
外壁を順番に、清掃もしくは、改装しているのだろう。肩に白いマントをかけたようにも見える。
その昔、産学協同というのは、企業が学問の中立性を阻害しかねないとも言われた時もあり、
また逆に象牙の塔の中では、農家の現実は見えないとも批判された事もある。 が、広大な農場や、郊外の試験場を含め、実践的な研究が継続され、蓄積されている事は確かだろう。 それらは、レンガのように積みあがっているような構造というより、植物の実のようであるかもしれない。 以下は、昭和40年第1刷農文協、岡島秀夫著「イネの生理と栽培」からの引用。「根から吸った養分と、葉でつくった炭水化物から、イネはタンパク質をつくり、からだを大きくする。私たち人間のように、動植物のデンプンやタンパク質を食べて生活するものとの根本的な違いである。」 しかし、苗の若いころは、苗床の肥料を利用してタンパク質をつくるといっても、その量が少なく、まだ胚や胚乳からもらって生育し、四葉がではじめるころに、いわゆる離乳期になる。 四葉の次に五葉がでてくるが、この五葉は自分で必要な栄養物を自分で作っていない。四葉または三葉からもらって伸びだすのである。 そうして、出穂期になると、若い葉が同化したタンパク質を穂へ送る。中間の葉は棹へ、下の葉は根に。 農家の人たちは、経験的に下葉の枯れ上がりを非常に心配する。 穂が完熟して、もう炭水化物をとりこむ力がなくなったときには、天寿であり、茂りすぎて下葉に光があたらず、早いうちに枯死してしまえば、上葉は活動する基盤を失い力つきて、光合成も弱くなり穂づくりはだめになる。 農学部からよくみえる若い葉のようなJRタワーをながめながら、札幌市が若葉だったころを想像してみたくなった。