変イ長調から、嬰ハ短調へ。
彼女は、タクトを振り上げるような動作で、コートを羽織りました。
「次の楽章は、植物に歌ってもらいたいわ。」
といったように聞こえましたが、
「次のが、苦笑。和食に煮てもらいたいわ。」といったらしいのです。
ところで、そんな会話は誰ともしていません。本当じみた風聞より、レッキとした作り話が、春の始まりにふさわしいと思いました。
そして、丁寧に薄皮を剥ぐような、大胆に魚をすなどるような文を、聴くように読むために、 まず歩くように調べたいと思っています。市役所で、「新札幌市史」機関誌第54号を買いました。 新学期は遠い昔。何も分っていないような、何もかもが分り始めるような思いに駆られつつも、言葉がうわすべりし、遊ぶのに任せて歩いて、みぞれてゆきました。