マンション街のアートフェス「ミニ大通お散歩まつり」
炎暑がすぎつつ、空が高い。西18丁目で地下鉄にのるのをやめて、JR桑園駅まで歩くことにした。近くのマンションに住む父に顔をみせると、描き立ての絵を見せてくれた。ミニ大通公園を通りかかると、そこここで人だかり。灌木が、そよ風にゆれていた。ゆれていることに気付かせてくれる仕掛けがあった。
江国香織の小説「左岸」。茉莉が兄から語りかけられる言葉「もっと遠くへ行くんだ。」を思い出した。いのちの向こう岸にいってしまった彼は、多くの事柄を経験してのち幼い頃に近い状況に戻った茉莉に「遠くにきたね。」と結ぶ。
作者名は女性のようだが、お祭りの関係者と思われる方にご紹介頂くと「僕の女性名です。」と言われた。
ブログ掲載の許可を求めると、どんどんアップしてくださいとおっしゃる。今撮ってもいいですかとつい口にしてしまう。いつもの突然シリーズだ。バケツを洗う仕事をされている途中。いいですよといわれたが、周囲の方々が散りぎみ。私なら、すみませんと言って逃げるに違いない。自分ができない事を人に頼む愚かしさに気恥ずかしい思いで立ち去る。
振り返ると、「あら?」と先の作品を不思議そうに見つめる人々。そのもとで、解放されたような風の子供。
なんとなく寄って、風をもらって、ゆったりする。
それぞれに違うところからやってきた集合住宅に住む人々。一階のギャラリーの店先で飲み物をいれている店の方々。座っておられる様子に、ゴッホの「タンギーじいさん」を思い出した。ライオンズガーデン植物園一階の「イル・ポスティーノ」
それぞれがばらばらだと言われがちなマンション暮らし。しかし、こうした緩やかな集いが、周囲の緑地帯にできるのをみると、固定観念をくずして幸せをのぞみ、いい風な流れにできる人々がいるのだなと思った。