サッポロ シティ フォーカス

the sight where I met the unconscious of a city, which was crossing the city consciousness.

少し踏み出すための膨大な努力

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昨日1月8日、地下歩行空間、札幌地下歩行空間北大通交差点広場西で、予定通りHAUSproject(北海道建築都市学生プロジェクト).によるイベントが行われた。

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学生たちは、リサイクルでも売れず被災地や海外援助に使うことも出来ないほど痛みのある古着を集めてきた。それを編み込んで座布団の形にして広場に敷き詰めた。早速、座ってみると、厚みと適度な弾力感があって悪くなかった。へこみ部分があって、横になることを促される。学生たちも作業後、車座になってトランプなどをして、ここがゆったりできる空間である事を表現していた。

地下鉄の出口とあって人通りも多く、 何をしているのかと立ち止まる人が多かった。中には一枚いくらなのという人もいたようだが、中を歩いてみる人、座ってみる人などがぼちぼち出てきて、人々を受け入れる温かい空間の創出という意図が序々に伝わってきた。

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歩行空間なので、歩くことを旨とする場所で、こうしたイベント許可を得るための交渉を、実に多くの場所で粘り強くしたそうだ。

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子供たちが入ってきたとき、其処は実に楽しい場所に一遍した。足に響くでこぼこ感にいちはやく気付き、転げまわったりした。見ている大人たちが、何だ子供に遊び場かと立ち去る人もでたが、新たに創出された温かみのある空間に、不思議そうな表情で近づく人も増えた。120108c

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中には、そこで流されていた「サッポロ・シティ・フォーカス」の編集版を見入っている人もいた。フォトログという日々の記録を、主として「札幌の街並み」「さっぽろの植物」等に分類して、積み重ねてきたこの形を30分に凝縮して、大きな画面で表現するというのは思いのほか大変だった。大変だったが、自分の表現なので、よく知らない人に編集を任せるわけにはいかない。昨日まで夫婦で議論を重ね、新たに検証した事がらを踏まえ、夫が編集してくれていた。下の写真は、当日のPCセッティングにも尽力してくれた夫です。ありがとうございました。

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昨年の後半から、このブログに沢山のコメントを下さったt1officeさんがお正月での来札の折、見に来ていただき声を掛けてくださいました。ありがとうございました。上の写真には、t1officeさんは写っておられませんが、このような状況の中で短い交流のときになり失礼致しました。できれば、これからもよろしくお願いいたします。

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1600からは、このイベントにいたる経過を代表の佐藤さんがスライドで説明。3年前からの流れと様々な議論を経て、今回の「身近なところから町の魅力を考えよう」というコンセプトと古着編み込み敷き詰めが決定されたことを紹介してトークイベントに入った。

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新潟大学の岩佐教授は、スライドショー映写と端的な説明で自ら学生とともに行われた社会実験を見せてくださった。柵に木製の簡易テーブルと椅子を設置したり、膨大な量の枕を河川敷に置いたり、橋を船でライトアップしたりといった短期的な仕掛けをすることで、街中の信濃川の風景を市民が美しく見るためのイベントを紹介。昨年できたばかりの地下歩行空間でも色々な事が出来はずと話した。

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その後、私も札幌のイベントの趣旨に近い公共空間として大通公園を選び、昨年できたばかりの創成川公園について話した。

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学生たちは、岩佐教授に町の見方をかえるためのイベント創出の意義などを改めて質問していた。小さな変化を起すことで、人々にとって少し居ごこちのいい場所ができる。そのことによって、それをさらに発展させる契機ができると話した。

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最後に一般参加者から、何も建築しない場所での、いごこちのいい空間についての踏み込んだ質問も出て、それくらいトークイベント会場ともなった衣服に座布団絨毯は、リラックスした雰囲気だった。

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少しの変化というのは、それぞれが感じた事でもあるだろう。私は、地下歩行空間のスライド画面に、「サッポロ シティ フォーカス」を少し流すことができて、嬉しかった。学生の中には、写真をどのようなときにとるのですかと質問してくれる人もいた。

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で御案内さしあげた広告代理店の0さんが、お見えになって衣服の座布団に座って、トークイベントを聞いておられた。御家族と過ごしたり御自分の時間を使うお休みの日にわざわざ来ていただいた事に感動した。広告の御仕事をしておられる方にとっては、不十分なところも多々あったかもしれない。若干不可解な面持ちで御覧になっておられた気がした。ご批判もお聞きしたいと思った。ありがとうございました。

以前このブログでも紹介させていただいた写真家のKさんには、メールでこのイベントをお知らせしたところ御仕事の帰りに御夫婦でお見えになり、トークイベントを最後まで聞いてくださった。表情をみていると都市の水辺についての話では感慨深そうだったが、それをどう見るか、どう関わるかについては難しい顔をされていた。そういう意味では少しの共感だったのかもしれないが、そのようなイベントに時間を割いて本当にありがとうごさいました。

人前で話すのは大好きだが、想いが相手に伝わったかどうか、いつも不安になる私を支えて、心と頭の中を整理してくれた夫には深謝。この人なしの自分はありえないといまさらのように思った。今回の記事で私が写っている写真は、夫撮影のもの。当日も多方面で助けてくれた。

そしてこの「サッポロ シティ フォーカス」を札幌地下歩行空間に引き出してくださったHAUSprojectの学生の方々、ありがとうございました。地下歩行空間古着敷き詰めイベントは、今朝の北海道新聞でも大きく取り上げられ、成功のうちに終了した。おめでとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。

さて「サッポロ シティ フォーカス」編集作業時に、札幌の歴史について改めて知った部分も多く、これからの課題も見えてきた。

「サッポロ シティ フォーカス」も少し深まってゆくといいなと思った。