切断面
野菜にしても肉にしても、初めの切り口の形には成り立ちがわかる構成の美しさがある。料理をするためには、食べるに良い大きさにする。切り刻むにつれ、自然に現れるきっぱりとした形状は見えなくなる。
風景にも、そうした一瞬がある。
新年度から事務所として借りた部屋がある分譲マンション。横にあった建物の解体が先月半ばから始まり、ほぼ終了しつつある。跡地には14階と2階の建築物が2棟予定されているので、今見えている風景は、まもなく見えなくなる。
冒頭の写真は、北大植物園の中から見える札幌の街並みの一部。1976年竣工なので古い街並みの風情といっていいかもしれない。植物になじむように斜めかつジグザグに作られた雁行型分譲マンションが横の建物解体で久しぶりに東側から見えている。が、解体が終わればフェンスが巡らされ、ほどなく隠れると思われる。
手前は、北大植物園内のロックガーデン。
小さな高山植物。まだ暑くなっていない気候のためもあるだろうけれど丁寧に扱われているのだろう。凛とした姿を保っている。
そして事務所出窓から見える風景。1976年竣工当時からややしばらく窓から見えていたであろう植物園の緑が見えるのも今少しの間だろう。今日は、風が少し冷たかったけれど、よく晴れていた。花粉症の薬を服用した夫と、今年初めて北大植物園の中を歩いた。
半月余りの建造物の解体のほぼ真下で仕事をしていた。植物たちの復活が嬉しかった。